経営判断

 500年以上続く和菓子の老舗「とらや」の赤坂店が昨年10月、店舗ビルを建て替えリニューアルオープンした。
法律上は10階まで建てられるところを途中で計画変更し、4階建ての建物となったらしい。
当初は建蔽率目一杯の高層ビルを建て、店舗とオフィス以外の余ったスペースはテナントとして貸し出す、いわば「よくありがちな」計画であった。
しかし、これからの時代は何が求められていくのだろうと考えたときに、大きいとか、豪華とか、そういう時代ではなく、もう少し人間の心に根差したものが改めて求められているのではないかと考えた社長の経営判断の元、木のぬくもりを生かした低層の建物にすることになったらしい。
勇気ある決断の源泉には数百年行き続けてきた会社を取り仕切る経営者の時代を読む「勘」、があったに違いない。
これから日本の人口は急激に減少を始める。いつまでも高度経済成長期の右肩上がりの成長に頼るのではなく、縮小に耐えうるビジネスモデルを誰よりも先に確立
する時にきているのではないだろうか。
 今まで日本史が経験したことのない少子高齢化の時代がこれから始まろうとしている。
厳しい現実を直視せず、今までのビジネスモデルを踏襲し、容積を増やすことに執着したプライムメゾン本郷の入居率は未だ低く、地下の店舗もにぎわっていないようである。最後まで生き残る企業はどちらか、これからも見据えていきたいと思う。